電気で働くアシスタント

情報公開

昨今の公共事業コスト削減やマスコミ非難のため、地元説明会などのプレゼンテーションは下火になっているのではないでしょうか。しかし、本来行政の役割は市民へのプレゼンテーションにあります。情報公開そのものがプレゼンテーションなのです。

10年ほど前はよく道路・街路事業などの地元説明会に出向きました。事業説明会とはどこも紛糾するようですが、わたしの出席した会も例外ではありませんでした。役所側の事業説明が罵声で中断することもたびたびで、うまく会の進行ができたことなど少なかったように思います。それでもよく観察すると、どんなに罵声の飛び交う説明会でも、声の大きな人はごく少数でした。100名中5名以下です。大声で会をかき回す商売(組織)というものを連想してみればわかりやすいです。

大部分の住民の方々は事業説明を聞きに集まってきていました。みな夕食の支度を早めに済ませて説明を聞きにきた人たちでした。毎回毎回罵り合う険悪な雰囲気の説明会なのに、どうしてそんな無理してまで地区の老人や婦人方がおいでになるのか不思議でした。いまにしておもえばそれが情報公開だったのかとおもいあたります。

情報公開とは役所の幹部職員に多くの苦難をともなうもののようです。情報を公開すると、それを待ち受けていたかのように一部の組織が役所幹部職員の糾弾をはじめます。しかし、一般市民はその糾弾とは無関係に、純粋に公開された情報に関心があるのです。

道路事業説明会でいえば、経営者の人は道路計画に基づいて商売を考え直すでしょうし、騒音や地価などから家の建て直しや移転をかんがえる人もいるでしょう。

公的な立場にある人の難儀は、やがて社会の安心につながる。

事業説明会で罵倒される課長補佐は、国会で野党から責任追及される浜口首相のようなものでしょうか。そういえば東条首相は結局国内では非難を受けませんでした。責任とは他者に追及されることで果たされてゆくものなのかもしれません。