原点の設定(平面・縦断・横断図の原点)

グリッドはあまり表示していませんが、横断図出力の場合方眼線として
1m単位でレファレンスグリッドを表示させています。
土木では四角張ったものが少ないせいか、あまりグリッドスナップを使うことが少ないようです。{横断図事例}

【平面図の原点】

平面測量では測量会社が勝手に任意座標を作って作図するのが普通です。
日本では国(国土地理院)が定めた平面直角座標系というれっきとした国定座標系があるのですが、
どういうわけだかいまだかつて一度もそれに準拠した平面図にお目にかかったことがありません。
基準点の座標値に8桁や9桁も数字が並ぶのが面倒なのかな、と好意的に解釈したりもします。

とにかく測量はややこしいので、できるだけ単純化させたいものです。
たとえば測量系とCAD系では座標のXY軸が逆です。

ふつうの測量計画は、こういう単純化の理由により適当に計画区域の南西方向1km付近に
原点(ふつう仮想原点)を設定します。
つまりトラバース測量網の起点No.0は(0.000,0.000)ではなくて、
(1,000.000,1,000.000)となるのが普通です。

これにたいし本物の原点(0.000,0.000)は仮想原点となりますので、
現地にピンや杭が打たれることはありません。
要するに計算が楽になるから原点を寄せているだけです。

地形測量の作業方法にもよりますが、まずは基準点網を適当に作図したのち、
その起点No.0が(1,000.000,1,000.000)と表示されるように
あとで原点位置を移動するのが普通でしょう。
原点は新規画面を生成した時点で図面中央に設定されていますので、それを移すことになります。

どういったCADでも原点はいつでも設定変更可能ですが、
原点を移動すると全ての図形の座標値が書き直されますので注意が必要です。
安全のため原点位置には2D基準点をロック状態で配置しておきます。
間違って原点位置が変わった場合でもすぐに元の状態に復帰できるようにするためです。
原点、縮尺、製図エリアなど表示・位置関連はどれも柔軟に変更可能ですが、
データそのものに影響を与えるのは原点移動だけです。

【縦断図の原点】

縦断図というのは縦横の縮尺が異なる特殊な図面です。
VectorWorksのような汎用CADでは苦手としている分野です。
自分の場合の縦断図の原点としては、X座標は路線のNo.0点に、Y座標は標高.000に置いております。
こうすると縮尺を合わせた軸の数値は正しい累加距離か、もしくは標高を表しています。

このほかの方法として縦断図の下書き図面として側面図を使う方法があります。
縦断図はもともとCADには合いません。
いきおい側面図を使うことが多くなります。
つまり側面図の地形線をX軸・Y軸を個別に縮小して縦断図にコピペする方法です。
縦断図はCADの原寸作図という原則からすこし離れた図面なのでけっこうやっかいなのです。

【横断図の原点】

横断図の図面としての特徴はひとつの図面にいくつもの断面が描かれることでしょう。
そしてCADの特徴としては、さらにひとつのファイルにいくつもの横断図が詰め込まれます。
つまり数十枚の図面でもCADではひとつのファイルに収まることになります。

こうすると数量集計とか画面移動とかいろいろ便利ですが、
ただひとつ原点がちゃんとした位置にいないということが問題です。
ふつうは各横断図の原点を10m単位で上下左右に配置することで、
最低限端数だけは正確に標高と横断位置を表せるようにしてあります。

横断図はセクションペーパーとも呼ばれます。
土木図面の中では唯一横断図だけが方眼紙が似合う図面です。
方眼つまりグリッドを使って、幾何作図的にいつでも原点が類推できるようにしておくのも重要です。
具体的にはD.L表示を欠かさないことです。