スナップパレット(自分の設定例)

  1. グリッドスナップ(OFF)
  2. 端点スナップ(ON)
  3. 角度スナップ(ON)
    ほかのスナップの影響も受けますので確実ではありません。
    水平/垂直に移動させたいときはshiftキーを併用しています。
  4. 交点スナップ(ON)
  5. 角度延長スナップ(ON)
  6. その他のスナップ(通常OFF)

【スナップ】

スナップとはCAD製図の根幹をなす機能です
コンピュータは0と1の配列で動きます。
CADデータも当然数字の集まりです。
これらの印象から、CADは数字を入力して図面を描く機械(ソフト)
というふうに誤解されている向きがあります。

たしかにむかしはそうだったのでしょう。
プログラムを書くように図面を描いていたのかもしれません。
でもいまのGUI系CADは、作図操作で精密なモデリングを可能にしました。

CADのモデリングに用いるのは仮想空間上の三角定規とかコンパスとかです。
この
モデリングという呼び方はいまひとつ的確ではありませんが、
製図だけが目的ではないという意味です。

※このホームページでは正確に区分するのもめんどうなので
この「製図」という単語をいろいろな意味で使わせてもらっています。

図面が引ければよいという精度ではなく、
成果構造物を規定精度内に工事・建設することがCADの仕事になります。
むちゃくちゃな考え方かもしれませんが、
仮想定規や仮想分度器で橋や擁壁をつくってしまおうという意味でモデリングと呼びました。

このヴァーチャル空間で製図用具を使うことで、
これまでの代数の座標計算と同程度の施工管理が可能になります。
人がおこなうインターフェースの操作は幾何作図ですが、
じっさいの処理は代数計算された値が入力されています。
ですからExcelの線形計算や座標変換と同じ作図が、仮想分度器や仮想三角定規で処理されています。
このインターフェースの主役がスナップです。

CADの幾何作図では値の確定した補助線とか基準点を豊富に配置して
それらを結ぶ形で線を引くことが多いようです。
一度基準点を配置してしまえば、あとはそれらをカーソルでピックアップしてゆくだけの作業となります。
このとき、基準となる補助線や基準点にカーソルをピッタリくっつけるのがスナップ機能です。
いい加減な端数値を入力しない機能ともいえます。

注意するのはスナップミスです。つまりわずかズレた座標を選んでしまうことです。
このスナップミスを避けるためにできるだけ互いに干渉しないスナップ設定が必要です。
こうしたことからスナップ設定はできるだけ少ない方がよいようです。

なお、スナップミスがあったかどうか確認するには図形のデータパレットを表示させておきます。
一般にスナップミスした図形データ、位置データには端数が付くのでわかります。
キーボードを使わないからといって決して精度の低い作図というわけではありませんが、
データパレットなどで常に数値の確認は必要です。
現在のプリンタの精度なら出力して見ればかなりのスナップミスがわかります。

CADを使ったことのない方は、コンピュータで図面を引くには
キーボードから数値を入力しなければならないと思われているかもしれませんが、
実際に数値入力で引く線は全体の半分もありません。
複写、移動などでの数値入力を除くと数値入力図形は1割程度でしょうか。

【マウス】

CADではキーボードよりもマウスにお金をかけるべきかもしれません。
オブジェクト指向型の作図では、マウスとスナップ機能を頻繁に使います。
そのためマウスのなめらかさが重要です。

いまオプティカルマウスとボールマウスの2種類を使っていますが、
使用感は断然オプティカルマウスです。
ボールマウスだと時にマウスの動きがおかしくなることがありますが、
これがオプティカルマウスにはありません。
ボールマウスはやはり専用のマウスパッドが必要なようです。
また中央のローラで画面がスクロール出来る点も新しいマウスの長所です

【グリッドスナップ】

普通は邪魔になるのでoffにしています
グリッドスナップは基本設計や検討設計など簡単な図形をスケッチする場合に使われるようですが、
土木分野ではあまり出番がないようです。
土木では横断図以外ではグリッド自体あまり使いません。

これまでグリッドを必要としたのは造成工事で土工をメッシュ管理した時だけです。
この場合、メッシュ方向は地形測量の任意座標系に傾いているのが普通なので、
ひとつのファイルで二つの斜行する座標系を管理することになります。
この手の機能はVectorWorksの苦手とするところで、
また実際に斜行する座標系を管理するのもやっかいなので、
結局メッシュを直線で作図してその各点に基準点を配置することで対応しました。
あとポール横断測量とか既存横断図の読みトレースなどでグリッドスナップを用いたこともありますが、
そんなに効率的でもありませんでした。
結局、不定形構造物を扱う土木では、グリッドはじゃまな機能なのです。

【端点スナップ】

もっとも重要なスナップです。
直線とは2点間を最短距離で結ぶモノ
起点と終点が決まれば直線が決定します。

この端点スナップはその線分の起点と終点および中点にスナップされる機能なので
よほどの理由がない限りonにしておく必要があります。
土木では等高線や地図記号をのぞいて根拠のない座標点に図形を描くということはありません。
隣地境界線にしろ中心線にしろ側溝にしろ全ての図形は測量なり設計なりで
座標値が決定しているものばかりです。
ですから線を引いたり加工したりする場合もかならず端点スナップを使うことになります。

ちなみに、模様やイラストなど全く座標が関係ないときにはoffにすることがあります。
このスナップをoffにするととてもカーソルがスムーズに動きます。
なるほどイラストソフトに強力なスナップが必要ないわけです。
なお、このスナップは端点スナップといいながら中点にもスナップします。
これで中心点を探す手間が省けるとともに対象複写などを使った対象図形の作成などに便利に使えます。

【角度スナップ】

いまひとつよくわからないのですが、ONでなにも問題ないのでそのまま使ってます。
Macはソフト全般になにがしかの垂直・水平機能があるようで、普通はどれもshiftキーで直行が可能です。
このスナップをONにしていても、垂直・水平を確実に行う場合はshiftキーを使っています。
ただし、このパレットでは30,60度がデフォルトで選ばれているようですが、
これはまぎらわしいのではずしています。

【交点スナップ】

これも邪魔にならないのでonにしています。
一般に製図では図形の交点にはスナップしてほしいものです。

【角度延長スナップ】

臨時の補助線を暗示してくれる機能です。
構造図の作図などに使います。

さきに土木製図では図形の座標値が決まっているといいましたが、
それは擁壁底と同じ標高だったり、天端からの垂線だったりと、
既設図形から導かれる点の場合が多いのです。

この角度スナップではどこまで延長を延ばすべきか点線で示唆してくれるので便利ではあります。
とくにこちらからの指示なしに補助線を案内してくれるが、
なんだか人工知能のような印象をあたえます。
ただ、いまのところこのような人工知能には完全な信頼が置けません。
正確を期して
、あとでデータパレットで位置確認する必要があります。

なお作業効率の点でいえばonでもoffでもかわりはないようです。