choice図形の選択

【図形はマウスで選択します】

基本的に図形はマウスでしか選択できません。
全てを選択(コマンド+A)や図形選択マクロなど、
マウス操作以外で使う便利な選択コマンドもありますが、ほとんどの操作はマウスです。
これがGUI(画面操作)をOSとするCADの特徴です。

かりにマウスが反応しなくなったらGUI系CADではなにもできません。
一般にマウスは不正確なものとおもわれていますが、
CADではこの不確かなマウスでしか図形を選択できないのです。

たとえば選択する前動作としていつも画面上でマウスをカチカチ数回クリックしています。
このクリック操作でツールボックス右上の「セクションポインタ」を選んでいるわけですが、
マウスそのものがいい加減な機器のため、操作もいいかげんにやっているのです。

ハサミやシャープペンシルの使い方と同じです。
シャープペンシルを使うときに、
ひとは芯が出ている、いないに関わらずカチカチとノックしています。
無意識に芯のながさを自分好みに調整しているのです。
ハサミで紙を切る前にも何度かジョキジョキさせます。
どちらも人に合わせた器械であり、どちらもいい加減な器械なのです。
マウスも人が直接手に触れるセンサーである限り、
このいいかげんさを捨て去るることはできないようです。

【操作は目的語+動詞の順】・・・もどる

プログラム言語とは、おしまいに言語とくっついているように一種の「ことば」です。
「ことば」である以上、コンピュータを使うためには機械に話しかけなければなりません。
なんだか壁に向かって話しかけるようで暗いパソコンオタクを連想しそうですが、
案外そのとおりなのかもしれません。

言語と同じようにコンピュータやソフトもいろいろな種類があります。
また標準となる共通語が絞られつつある状況もよく似ています。
そんななかでMacとVectorWorksは
どちらもグローバルスタンダードというものからははずれた存在ですが、基本文法は主流と同じです。
Windowが英語ならMacはラテン語かギリシャ語。
似ていて当然ですね。

文法とはまず語順です。
主語+動詞+目的語これが英語の語順です。
日本語の語順はこれから主語を省き、動詞と目的語を逆さまにします。
三角形(目的語)を移す(動詞)。
これがCADの語順です。
なんと日本語の文法なのです。

まず、VectorWorksでは加工する前にその図形を選択します。
カーソルが矢印のセクションポインタになっていれば、最初にまず図形の縁をマウスクリックします。
こういった操作はExcelでのセル選択、Illustratorなどの図形選択と同じです。

つぎにその図形に対して拡大・移動などの処理をおこないます。
日本語の語順と同じです。
当たり前のようですが、ソフトのよっては動詞が先にくる
(はじめに操作を選ぶ)ものもあるので注意が必要です。

編集図形が選ばれていなければ、加工メニューでは操作コマンドそのものが
グレイ表示のままで選択することもできないようになっています。
また二つの目的語(図形)を必要とする動詞、
例えば「切り欠きコマンド」などではひとつの直線を選択しただけではグレイ表示は解除されません。
もともと語順の違った操作ができないように設定されているのです。

なお、生成動詞(直線ツールなど)の場合は先に自動詞(ツール)を選択します。
当たり前ですよね、選択しようにも図形(直線)がまだ存在していないのですから。

【いつも図形を選びやすいよう環境設定を心がけます】・・・もどる

CADは図面修正が簡単という利点を持ちますが、
これはまた知らぬ間に図形を動かしてしまうという危険性をも秘めています。
データの移動阻止だけの機能ならばロックひとつあればいいようなものですが、
それでは図面が固定してしまいますし、ロック自体には図形の選択・表示制限の機能はありません。
できるだけ変更対象だけを取り出せるように事前にこまかな設定・工夫が必要です。
これら図形・図面の操作・表示を制限する方法としては、
「ロック」、「レイヤ分け」、「グループ化」、「シンボル」、「クラス分け」などがあります。

一番簡単なのは「グループ化」、基本となるのは「レイヤ分け」です。
「グループ化」をするとどの部分を選択してもグループ全体が選択されます。
グループがひとつの図形のように固まってしまうわけです。
編集するには一度グループ解除するか、グループ内にはいるかします。
「グループ化」ではとくにルールを設けることはありません。
あまりに便利なため、作図・編集作業中になんどもグループ化とグループ解除を繰り返すからです。
グループはこの便利すぎるのが欠点です。

「レイヤ分け」は「グループ化」とは違って、これは完全にルールを設けて運用します。
なぜならレイヤにその特性を命名しなければならないからです。
レイヤでは「グループ化」の機能からさらに、
表示・非表示、スナップのオン・オフ、編集のオン・オフ、縮尺設定、表示モードなど
図面管理機能の主なものを利用できます。
平面図における、基準点レイヤ、境界線レイヤ、等高線レイヤ、地物レイヤ、中心線レイヤなどなどです。

【ナビゲータ(画面表示)を参考にします】・・・もどる

マウスを使ったCAD操作では、自分がいまどの図形の、
どの部分を掴んで(ドラッグして)いるのか把握することが重要です。

平面図で集水桝を側溝につなげて配置する場合、構造図で擁壁の寸法線を引く場合、
横断図で標準断面図形を中心点にコピペする場合、
それぞれ図形の基準点を掴み、それを正確に配置の基準点にドラッグしければなりません。
カーソルが集水桝の外郭をつかんだのか、そのコーナーをつかんだのか、
それともどこか図形の任意の内部をつかんでいるのかを知っておく必要があります。

このためCADでは図形を選択する前に選択部分のヒントがチラチラと表示されるようになっています。
「端点」「図形」「中心」など文字としてのスクリーンヒントと
「↑」、「+」、「▲」などアイコンとしてのポインターです。
デフォルトの環境設定ではカチカチとスナップ音もさせます。

チラチラと表示させたりカチカチと呟いたりさせているのは、
それだけ繊細な指腹の触覚のような働きをカーソルに持たせているからにほかなりません。
カーソルを人差し指の指先のように図面に這わせて、おそるおそる図形のまわりを撫で回まわす。
まだまだ実物の桝を素手で触ったり肉眼で確認するのには及びませんが、
それでもできるだけ人間に近いインターフェースを、
CADはCADなりに実現しようとしているのです。

【選択すると図形の端点に四角点の表示が現れます】・・・もどる

ディスプレイの画面だけではグループなのかシンボルなのか、
それともレイヤ違いなのかの区分はつきません。
集水桝をクリックしたのに四角点の選択マークが現れないのはどこかに勘違いがあるからです。

一番多いのはレイヤが違っているケース。
他のレイヤをグレイ表示に変えてみるとレイヤの違いが分かります。

グループ化しているケースもあります。
この場合は選択は出来ているので、データパレットにグループとして内容が表示されています。
画面を縮小すればグループの周りに四角点の選択マークが表示されているのが分かります。

そのほかに階層設定が「他のクラスを表示+スナップ」になっているとかもあります。
ふつうの設定は「他のクラスを表示+スナップ+編集」です。
どの場合でもデータパレットを確認すれば、選択できていないのか、
選択は出来ていても四角点表示が見えていないのかが判別できます。
ちなみに四角点マークがグレイになっているのは図形がロックされている印です。

【面図形がカードのように重なっていて隠れている場合】・・・もどる

面図形のCAD作図はデータをモノのように扱えるという利点がありますが、
反面その背後に基本図形が隠れてしまうといううっとうしさも伴っています。

図形の一端がのぞいていればそこをクリックして選択できますが、
そうでない場合は一度上にある面図形を背後に移動させるか、
または塗り潰し無しの面属性に変える必要があります。
どちらの方法も表示の設定を変えるので、あとでもとに戻さなければなりませんし、
だいいち図形がほんとうに隠れているどうか探してみなければ分かりません。

図形でごちゃごちゃの机のうえを引っかき回し、探し回る。
この探し物操作が第3の方法です。

この方法は、座布団の下から財布を捜し出すように、
面図形をあちこち移動させてその下の図形を探し出してカットします。
当然図面はむちゃくちゃになりますが、
コンピュータお得意の取り消しコマンド(コマンド+Z)で元の図面に復旧させます。
このときメモリー上にはカット図形が残っているので、それをペーストして使います。
かならずしもカットする必要はありません。
これで隠れた図形位置がわかりますので、範囲指定の方法などで背後の図形を選択できます。

このように重なった図形の選択方法はいくつかありますが、
自分はできるだけレイヤに分けることで対処しています。
基準点は基準点レイヤに、地形地物は地形地物レイヤにと
それぞれ基本図形ごとにレイヤ分けしていれば、
面図形が重なって選択できなくなるという事態も起こりません。

これとはべつに面図形では上に重ねた線ではなく、
背景図の方を選んでしまいがちというのもうっとうしいものです。
VectorWorksで選択間違いしやすいのは、
真っ白な領域をクリックしたにもかかわらず多角形(等高線など)を選択してしまうことです。

かりに面図形をロックしたところで間違って選択してしまうことは防げません。
ロックは選択図形を移動・変形できない機能なのですから。
属性パレットで塗りつぶしを×にすれば線分を選択しやすくなり、
それもよく使いますが、それでは面属性が十分に使えません。
これらもふつうはレイヤ分けで解決します。
やはり一つのレイヤ内で図形をあまり重ね合わせるのはよくないようです。

【クリック】・・・もどる

図形を選ぶといえば、このマウスクリックです。
CADに限らずGUIソフトの常識となっています。
CADではおもに図形を修正する際に使います。

クリック選択の特徴は一度に一図形しか選べないことです。
クリック選択では確実にひとつの図形だけしか選んでいませんので、
編集作業の場合に他の図形を誤って変更してしまうという危険性は少なくなります。
またワンクリックで選択できるので、「全てを選択」とならんでもっとも素早い選択方法です。

【範囲選択】・・・もどる

複数の図形をグループ化したり、移動したりするときに使います。
背後の図形も選択できます。
細かな調整はシフト+クリックで選択を増減します。

この方法では図形すべてを囲まないと選択できないので、
誤って一部の面図形を選択してしまうミスはないのですが、
最初のクリック点に塗面があればエリアを描く前にその面図形を選択してしまうので、
クリック開始点が重要です。

【shift+選択(クリック)】・・・もどる

切り欠きや合成など複数図形を選択する図形加工に使います。
選択だけでは選択解除も出来るのがこの方法の特徴です。
ひとつひとつ選択もしくはを確認できるので確実という反面、
複数クリックでは途中で選択ミスをしてはやり直しというめんどくささもあります。
「直前の選択状態に戻す」などのコマンドもありますが、
選択操作が面倒であることにはかわりありません。

【全て選択(コマンド+A)】

一度に編集可能な全ての図形を選択できるのが特徴です。
図面の移動とかデータ構造の変更などデータ全体に修正を加える場合に使います。
編集可能とはふつうはそのレイヤの図形を意味しているのですが、
階層メニューの「他のレイヤを表示+スナップ+編集可能」にしておくと
ファイル内全てのデータを選択できます。

またこの選択方法では存在する全てのデータが選択可能になるため、
例えば宇宙空間に飛んでいってしまった未確認データや
ナノ分子レベルに隠れている微少データなどのゴミデータを削除する場合にも便利です。

【条件式による選択】・・・もどる

CADにはマクロといって簡易なプログラム言語が備わっています。
VectorWorksではVectorScriptと呼ばれるプログラム言語です。
しかし、いくら簡易であろうとプログラム言語であることにはかわりがないので、
それをより使いやすくしたマクロというコマンドが階層メニューに用意されています。
これはあるデータ特性で図形を選択しよう機能ですから、
「全てを選択」のようにオールマイティな機能です。

例えば出力フォントをOSAKAフォントから平成明朝フォントに一括変更したい場合などに使います。
おなじ形式、おなじクラス、おなじ線色など共通属性をもとに図形を検索できます。
なおグループ化やシンボル化された場合は部分の属性では選択されません。

この機能を利用して、選択図形を色塗でチェックしてゆく方法があります。
ふつうの複数選択では、選択の抜かりや選択もれが生じるからです。
工事完了部分を選択したい場合、いくつかの工事完了図形線を順次青線に変えてゆきます。
工事完了部分を確認し、必要であれば「条件式による線色選択」で
グループ化したりほかのレイヤに移したりします。
事前に色分けがしてあれば、「条件式による選択」で一括選択が簡単です。

この機能や「全てを選択」の機能を使った場合、
他の非表示にしていたレイヤでも図形が選択された状態になっていることがあります。
つまり選択作業が終わってほかのレイヤに移ると
既にテキストや赤線図形が選択状態になっていることです。
一種のバグかなともおもっていますが実害はないようです。

編集操作自体は階層メニューのレイヤ操作設定が上位優先で機能していますので、
通常不可視データが誤って編集されることはありませんので安心してください。
不可視データが操作されないのは一種のWYSIWYGといえます。
What you see is what you get
「画面で見えているとおりのものが得られる」→「画面で見えている図形だけが編集できる」です。

【Option+範囲選択】・・・もどる

VectorWorksの選択操作は、およそMacを使っているひとなら
なんの苦もなく類推できる操作ばかりですが、
このOption+範囲選択はもしかして気づかない人もいるかもしれません。
複数図形を楽に選択するひとつの方法です。

図面が複雑になってくると範囲指定では的確に編集範囲を選択できなくなってきます。
というのも範囲選択では対象図形のまわりを囲まなくてはならないからです。
編集部分に関係する図形だけを選択したい場合には「Option+範囲選択」を用います。
選択範囲に触れた図形全てを選ぶので、
画面を拡大しなくても中心線や敷地図形を含む複数図形を選択することが出来ます。
便利な選択機能なのですが、コピーに「Option+ドラッグ」を常用している人は、
この操作とこんがらがるのが難点です。