線分の結合

【直線専用の編集コマンドです】

福笑い流というかオブジェクト指向CADでは、
多角形のような面図形が図面の基本部品なのですが、
いくつか直線でないと使えないツールやコマンドがあります。
「線分の結合コマンド」もそのひとつです。

考え方は、補助線を図形にしてしまおうという作図方法です。
重力式擁壁の作図を考えてみます。
擁壁の底辺、天端高さ、前面勾配、背面勾配などの補助線を配置します。
これら補助線はすでに擁壁の外殻を取り囲んでいるので、
それぞれの交点で切ってしまえば擁壁の輪郭線が取り出せます。
また擁壁の根入れを50cm深くしたい場合は
底辺を50cm移動してほかの線をつなげたら図形修正が完了です。

このように補助線というものはそれ自体で構造物の形をなしているので
補助線の切り取りとか結合とかの操作で作図ができます。
そういう作図法で利用するのがこの「線分の結合コマンド」です。

このコマンドでは選択した2直線をその交点まで引き延ばします。
ですから結合と名がついているのです。
両直線がすでに交わっている場合は短い方が切り取られます。
このコマンドは片方の直線だけでなく両直線が交点まで繋がりますので、
ショートカットキー(コマンド+J)と組み合わせると素早い作図方法となります。
ただしこれで作った図形は線の集まりです。
面図形にするためにはこれらをトレースし直す必要があります。
なおVectorWorksにはこれら線の集まりを多角形(面図形)に一括変換するコマンドはないようです。

【コマンドの作図精度】

これはこのコマンドに限ったことではありませんが、
CAD製図の幾何作図で求めた点や線分はミリ単位程度では完全に代数計算値と合致しますし、
またそうでなければどちらかが、またどこかが間違っています。

両直線をY=a1X+b1、Y=a2X+b2とすると
交点座標はX=b1-b2/(a2-a1)、Y=a2b1-a1b2/(a2-a1)です。
この結合コマンド操作の場合、CAD内部では有効数字10〜16桁くらいで解が求まっているはずです。

一般に土木構造物は、3分だとか5分だとかに勾配を小数1位で固定して設計しています
結合コマンドを操作後にデータパレットを確認してみて、
底辺や天端幅に端数が現れていたなら、それはおかしなことです。
そのような場合は作図がどこかが間違っているのです。
構造断面図の底辺長さに端数が現れるようなエラーの場合は、
法勾配の入力ミスや端点のスナップミスなどが多いようです。
ただし、前面と背面の斜長はSQR(dx^2+dy^2)ですから無限小数値になっています。
このようにCADではミリ単位の端数も決して作図誤差などではありませんので注意が必要です。