複製{メニューパレット・コマンドパレット}

【複製コマンド(コマンド+D)はコピーの基本です】

「線分の結合」で紹介したように土木製図では
基準点、補助線を設計数値分移動させることで作図を進めてゆきます。
すべての設計は細かく規則で決められており、
根拠のない座標点に作図するということはありえません。
オリジナルばかりでコピー操作が少ないのです。
建築などでは開口部やインテリア、エクステリア部品を
シンボル図形としてコピー配置することがあるようですが、
二次製品も少ない土木ではこういったコピーもあまりおこなわれません。

つまりどこにペースとされるか規定できないようなコピー操作は土木作図には無用ということです。
これが環境設定で「ずれを伴う複製」をオフに設定しておく理由です。
つまり、コピーのかわりに同位置複写の複製コマンドを使うこということです。
編集メニューもしくはシステムのコピー&ペースト操作ではペーストした図形の位置が特定できません。
これが複製コマンドだと環境設定で指定してあれば、元図形と同じ位置に重ねて複写されます。
作図手順としてはこのあと設計数値分移動させることになります。

このほかの複写コマンドとしてミラー反転複写、配列複製、オフセットツール、パス複製ツール
などがありますが、みなこの複製コマンドと移動・変形コマンドを組み合わせたものです。
じつは、もっと手っ取り早いコピー方法があります。
オプションキーを押したままで図形をドラッグする方法です。
これで元図形を残したままで複写図形が作れて、しかもすでに掴んだ(選択)状態です。
地物記号などたくさんのコピーをいいかげんに配置する場合に便利です。

【配列複製】

配列複製では一種のパターンを作ります。
この配列複製の目的は、正確な配置と、コピーの省力化です。
土木ではおもに平面・展開図でのブロックの配置や配筋図での鉄筋の配置に使います。

この操作にはX軸とY軸に複製方向が固定されるという制限が付きます。
したがって展開図はともかく、平面図などでこの配列複製を用いる場合は別途図形の回転操作が必要です。

たとえば直線区間の長大法面を作図する場合を考えてみます。
まず別ファイルで法面記号だけを配列複製で作図します。
法面幅7.5mと小段幅1.5mが一定であれば、標準法面図を1段だけを展開図に作図します。
そして、残りの十数段に間隔9.0mとしてこの配列複製を使います。
これで方形の法面図形が出来上がりました。

これらの法面記号に必要な回転処理をおこない、まとめて平面図にコピペします。
もちろんこの法面図形は長方形のままですので、
ペースト後に地形線に合わせて線をカットして法面図として仕上げます。

【オフセットツールは複写機能を伴った平行移動コマンドです】

平行線を複写するツールです。
おなじ機能を持つツールにダブルライン多角形があります。
最初に平行線を引くか、あとから線を複写移動するかの違いです。

使い分けとしては、ダブルライン多角形は平面図の水路や配筋図の鉄筋加工などのように、
線形形状の面図形そのものを作図する場合に使います。
それに対し、オフセットツールは平面図や構造・展開図などで
おもに作図の補助線引きに使われることが多いようです。

補助線といってもオフセットツールでは多角形は多角形に複写されるので注意してください。
ふつうは線分としての補助線がほしい場合がほとんどなので、
オフセット操作をするまえに面図形の一部を直線でトレースすることもたびたびあります。

またこれと似たような複写コマンドとして配列複製があります。
オフセットツールの利点は任意の直線を直角方向に規定幅だけ並行複写できる点です。
上記の法面記号でいえば、平面図上でそのまま法面幅9.0m分だけ平面移動できます。
実際の操作としては、路側の直線をピックアップして、
そのまま7.5mの法面幅でオフセット複写します。
以後同様にオフセット複写と法面線の調整をして法面図形を仕上げます。

配列複製は展開図などで基礎杭や魚巣ブロックなどの面図形をXY軸上に一律に複製するのに対し、
オフセットツールは平面図で杭打設ラインや根固ブロック配置ラインなど
補助線を配置してゆくのに用いる違いがあります。

【曲線部分は多角形に変換されます】

断面構造図や中心線の外測線の補助線作図など、
土木作図におけるオフセットツールの利用範囲は広いのですが、
曲線部分が複写後に多角形に変わってしまう点が欠点です。

これは内側に複写したときエラーにならないための処理なのかもしれません。
たしかに曲線半径より内側に複写するとおかしなことになります。
ただし、この障害はかならずしも幾何学的な制限ではないので、
オフセットツールの前後であらかじめ図形処理をおこなっていたなら、
曲線でも並行複写が可能です。

まず多角形(ルート線形)の曲線部分を折れ点に変換します。
これでIP間を直線でむすぶ折れ線(面図形)ができます。
これをオフセットツールで幅員3.25m分平衡複写します。
これが道路の外測線(面図形)となります。
これは折れ線(面図形)になっていますので、これを曲線にもどします。
多角形の各頂点を曲線半径(R+3.25)で曲線に変更します。
この操作は2D変形ツールです。

この場合最初の曲線で、各曲線部分のBC、ECにあらかじめ接点を設けておれば、
半径の計算なしでも内径・外径に即した曲線に変換することが可能です。

なお、緩和曲線がある場合はこのかぎりではありません。