土木では河川・道路・圃場整備・造成などいくつかの事業が関連する場合があります。
橋梁計画における河川協議資料とか、造成事業におけるの24条申請などです。
こういう場合、河川改修計画図面の上に道路計画データを載せたり、
国道の道路管理図面に接するかたちで造成図面をつなげたりします。
ここで紹介する異なる事業の計画平面図のつなぎ合わせは、
実際に公的な仕事に携わっているものにとっては少々空恐ろしくなるような操作です。
法も役所も事業ごとの縦割りなので、安易に平面図をつなげるなど、
あとあと大変な責任問題にもなりかねません。
ここではあくまで技術的な面のみ説明します。
実作業としては、たいていは事業ごとにそれぞれ勝手な任意座標系を設けているので、
もちろんそのまますんなりとはつながりません。
原則としては、位置と方向を調整して図面をつなぎます。
位置は簡単ですが、問題は方向です。
それぞれの平面図座標系は方向が違っていますので、
共有する2点を合わせるように回転させて両図面を重ね合わせます。
この共有する2点というところがミソなのですが、
ここでは簡単に共通する基準点のなかからできるだけ離れたものを選びます。
これまでこの回転処理にマウスの回転ツールを使ってきました。
ワン操作で重ね合わせができるので便利ですが、
マウスだけでミリ精度で設定された数千点のデータをいっぺんに座標変換するのですから、
さすがにすこし不安ではあります。
あまりこまかな検証をしたことはありませんし、
また異なる規格の測量データをそうおいそれと比較検証できるものでもありませんが、
これまでの数例では、業務に支障のでるほどの食い違いはでていません。
コマンド処理自体は信頼性がありますので、
2つのピポット基準点さえしっかりスナップされていれば変換に問題がないはずです。
なお、当然のことながら両者の2つのピポット基準点は点間距離が微妙に違うため
回転操作後も完全には一致しません。
ほんとうにCADデータの合成をはかるなら、
この測量精度の調整が最大の難関になるはずです。
【マウスで図形を駒のように扱います】
この回転ツールはおもに回転角度がわからない場合に使います。
またわかっていてもややこしい場合にも使います。
3分勾配は73度18分2.72**秒ですが、入力するが面倒なのでこの回転ツールを使っています。
それ以外、たとえば直角だとか、30度だとかの簡単な回転の場合は、
より速くより確実なほかの回転操作を使います。
加工メニューの数値回転や直角回転(コマンド+L、コマンド+R)などです。
なかでも一番使うのは直角回転(コマンド+L)です。
土木の横断図や構造図はおもに垂直・水平の補助線で作図されますので、
直線といいテキストといい直角回転はよく使うのです。
断面図を作図するときなどは、どこか適当な線をオプション&ドラッグで引っ張ってきては
直角回転(コマンド+L)でくるくる使い回しています。
カードをコピーしてきて、手直して配置しているような感じです。
ですから作図ツールとしての直線ツールなどはほとんど使うことがありません。
文字もどこかからオプション&ドラッグでテキストボックスを引っ張ってきては書き直して使っています。
というのも、いちいち線種、線色、クラス、フォントなど属性を設定してまわるのがやっかいだからです。
複製で説明したように、このオプション&ドラッグは
配列複製やパス複製など専用ツールよりも各段に速いのです。
一見いいかげんにおもえる作図法ですが、
図面上に基準点、基準線、基準図形が正しく配置されていれば
マウスの操作だけでも精度のある作図が可能です。