2D基準点

【図面には表示されますが印刷はされません】

2D基準点の「表示はされるが印刷はされない」という性質は重要です。
見えてるのに触れることができない。
つまり完全なガイド(補助)点なのです。
ですから土地境界点や道路センターなどで印刷したい場合に2D基準点を使うことは出来ません。
かわりに、2D基準点上に円もしくは十字線を配置します。

もともと「点」とは位置があって長さ(量)をもたないものとして定義されているので
印刷されないのは当然のことかもしれません。
※点とは部分を持たないもの・・・ユークリッド原論より

でもそれはMacのWYSIWYG(ディスプレイそのままがプリント出力される)原則には反しているのです。
2D基準点はこのWHSIWYGの原則に反する数少ない例のひとつです。
このため2D基準点は大きさ(量)という概念から解放され、純粋数学的な性質を持つようになりました。
つまり便宜的にディスプレイ上に×点として位置表示はされるが、
大きさを持たないのでどんな画面でもおなじ×点印で表示されているということです。
一部の画面操作などから超越した存在ともいえます。

具体例としては、画面を縮小して地球をちいさくしてゆくと地形線は消えてしまっても
2D基準点だけがやたらプツプツ残るという表示特質です。
拡大して線幅は太くなっても(設定による)、2D基準点の×点印の大きさは影響を受けません。

なお2D基準点を含む図形を変形した場合には、
基準点そのものは影響を受けませんが、その位置がずれます。

基準点は作図の際の補助線のような役割にを果たします。
任意点の2D基準点をデータパレットでXY座標を入力することで正確な配置を行います。
測量の4級基準点や道路センターなどには
この2D基準点ではなくシンボル図形(丸十字)のほうを使います。

【測量基準点】

2002年4月1日より日本測地系がベッセル回転楕円体から
世界測地系GRS80楕円体に移行するそうです。
とはいってもどちらも楕円体。
曲面の卵の上にモノを置いてみよう、測ってみようというものです。
ここですこし聞き慣れない単語がでてきましたので説明してみます。

楕円体とは何でしょう。
紙に楕円を描いて棒を立たせて見てください。
この楕円が地球で、棒が人を表します。
この棒の方向、なんかちょっとおかしくありませんか。
そういえば、重力の方向と地面の直角方向とがずれてしまってます。
ひぇー。
そんなんありかよ、パチンコ玉がひとりでに転がってゆくじゃねーかよ。
いえいえ大丈夫。地球は回っているのですから(遠心力)。

どちらにしろわたしたには関係のないお話でしたね。
さて国防総省ペンタゴンやノースウェスト航空は別として、
一般民間企業のCADは地面は平らだと信じ作図しています。
コペルニクス以前のカトリック教ローマ法廷の世界ですね。
かといって地面が丸くてもなにかと不便です。

国土地理院のほうも、地面が曲っていては地価税の算出にも大変だろうと
平面直角座標系という平面システムを用意してくれました。
この座標系の概念は平面というより円筒なのですが、
丸めている図面を伸ばせば平面として使えるという考えです。

ですが、このシステムもまた民間では使われていません。
普通はXYの任意座標系を勝手に現地につくって測量設計を行っています。
道路舗装の上にポツポツと測量ピンが見えているのがそれです。
これはこれでいままで問題はなかったのですが、
こんどGISという電子行政ができて、あまり勝手なこともできなくなります。

たとえば土地境界の基準点座標が一意的に割り振られるようになることだってありえます。
また法務局も分筆登記の際にも既設の土地境界点座標との数値の整合を
細かく確認するようになるでしょう。
さらにGPS(カーナビのこと)測量では「世界の中の日本」という概念をとおりこして
「宇宙空間の中の浮遊境界杭」という測り方をしています。
つまり基準点がややこしくなってきたのです。

ここでやっと最初の測地成果2000(日本測地系の変更)がものをいってくるわけですが
・・・これらは現在勉強中です。
そのうち新たに測量の項目をつくろうかとは思っていますのでお待ちください。

なお、基準点がややこしくなるとは、基準点を調整(補正)する必要がでてくるということです。
CADでは原点の移動だけならいつでも簡単なのですが、
いくつかの基準点をわずか移すということになると関連するデータすべての変更となります。
つまり白紙からの書き直しです。
なんか、あんまり歓迎できませんね。