寸法線

【Arch】

Archとはいくつか備わっている寸法規格のひとつで、おもに建築用に使われている製図規格です。
ほかにもISOやJISなどもあるのですが、マーカー(矢印)が▼なので敬遠しています。
Archの"/"はいくつかあるマーカーのうちで最も個性がないのが利点です。

図面でテキストや寸法線が目立つと困るのです。
常日頃寸法線には0.03ミリ幅を使い、グレー処理をしているくらいです。
なお規格は環境設定で決めていますが、
データパレットを使えば個々の寸法線の規格を変更することは可能です。
またマーカーの変更は画面→属性を編集→マーカーで行います。

寸法線では正確な数値が表示されます

寸法線で表示される寸法は、たとえそれがどんなに気に入らなくとも
その数値のみをいじることは出来ないことになっています。
気に入らないことはよくありますが、
間違っているのは作図の方ですから寸法表示に八つ当たりするのはお門違いです。
もし寸法値に端数が表示されていたら寸法そのものに端数があるのです。
このばあい端数のある寸法を引き直すか、それとも精度を低くして端数表示をカットするかどちらかです。

一般に寸法線が使いづらいのはスナップミスなど不完全なデータを残してあるからです。
2cmとか6mmとか、場合によっては***998.3ミクロンとか
製図的にはどうでもいいような端数が、CADでは最後までつきまとってきます。
とはいえCADでは原寸作図が原則なのですから精度は重要です。
ミクロンやナノはともかくとして、規格値付近のミリ単位くらいの精度には気をつけておくべきです。

ある種のプログラム内蔵図形(プラグイン図形)

2D基準点やテキストほどではありませんが、寸法線もやはり普通の図形とは異なる性質を持ちます。
VectorScriptで記述されたプラグイン図形のように、
作図後でもパラメータを変えてやることで表示をコントロールできます。
また四角形や円弧のように各点をドラッグすることで形を変えられます。
V9から寸法線に拘束条件が付くようになりましたので、
図形の変形に追従して寸法線も数値が変わります。

寸法線はミラー複写など複写関係のツールにも対応します。
ただ複写された寸法線は「斜め寸法線」の特性に変わるようです。
斜め寸法線と普通の寸法線とはすこし性質が違います。
斜め寸法線は両端の実距離を求めるのに対して、ふつうの寸法線はX,Yどちらかの寸法を表示します。

図形加工のすべてのコマンドを使う場合には、グループ解除で直線と文字列に分解します。
曲線部分の引き出し線などのように、寸法線に円弧を使いたい場合は、
寸法線ツールとは別に曲線で寸法表示を組み立てたりもします

なお寸法線にはあらかじめ「寸法」というクラスが割り振られています。
これを使って寸法線だけグレイ線にして控えめに印刷したいときなど
図形選択マクロでクラス=寸法でピックアップが簡単になります。

【図面の読みとり】

実際の作画(直線や多角形)よりさきに寸法線を紹介しているのは、
作画コマンドを使わない人でも寸法線コマンドは使う場合が考えられるからです。
土木はいろいろと法や規制でがんじがらめの世界ですので、たとえ工事担当者といえども
そうそう設計図(平面図)に手を付け入ることはできないことになっていますが、
施工上いろいろ図面データを利用することはあります。
たとえばCADでは寸法をしらべるツールとしてはキルビメータコマンドが手軽ですが、
これだと印刷ができません。
またキルビメータコマンドは固定表示がなく証拠が残りませんから、
いまいち信頼性に欠けるという欠点もあります。
図形のデータパレットを確認する方法などもありますが、やはりちゃんとしているのは寸法線表示です。
斜め寸法線もあり、直線延長であれば拘束確認機能もついてる寸法線コマンドが便利です。