layerレイヤの機能

レイヤ、クラス、グループ、シンボルはそれぞれ図形をまとめて管理する方法です。
この4つはどれも同じような働きをしますが、
なかでもレイヤはもっとも基本(ベース)となる図形管理です。
この4つの管理方法で一番手軽なのはグループですが、
グループ管理が複雑になってきたらレイヤやクラスに移すことを考えてみてください。
レイヤの利点は縮尺設定や上下関係などで、もっとも概念のはっきりした図形管理機能となっています。
なお、上記4つのほかに図形管理方法として、ファイル共有やデータベースなどがありますが、
どちらもおもに規模の大きなプロジェクト用で小規模工事で使うことは少ないようです。

【レイヤ分けにはいくつかの利用法があります】

1枚の図面を修正管理しやすいようにいくつかのレイヤに分ける方法です。
位置図や図郭、地形線、計画線などをレイヤ毎にわけて修正しやすくします。
表示方法は「他のレイヤを表示」にして編集することが多いようです。

上記のレイヤ構成で、縮尺とかを変えたりした図面です。
ひとつのファイルで縮尺を変えることはあまりしたくありませんが、
構造図・展開図などではいたしかたのない面もあります。
「ひとつのファイルにひとつの縮尺」という方針にこだわって図形の方を拡張・縮小すれば、
今度は「原寸作図」というCADの原則に反します。

この場合の具体的な問題は、図形自身に手を加えるので、
各部材の寸法や面積計算などが桁違いで表示されるという欠陥です。
自分は、構造図や展開図など寸法が必要となるものは「原寸描画の原則」を守り、
位置図などどうでもよい図面は適当にデータ自体を縮めたりして使ってます。

多縮尺図の注意点)
レイヤ間でのスナップが利かない
図面の原点はレイヤ毎には変えられないので位置合わせが難しい。

要するにいくつもファイルを管理するのがめんどうなので
ひとつのファイルにまとめてしまおうということです。
ひとつのレイヤはひとつの図面を表示することになります。

共通レイヤとしては図郭レイヤとか位置図レイヤとかとなります。

横断図など簡易な図面のばあい、
数十枚の図面をひとつのレイヤにまとめることで管理が簡易になります。
地形線、計画線、数量算出線などを区分したい場合は枝番レイヤを使うかクラス分けを使います。
レイヤ、クラスなどの区分がややこしくなってきたらウィンドウ下の図面登録を使います。

これらの機能を用いるとA4の数量計算図などで便利ですが、
数十枚のレイヤを自動的に逐次プリントアウトできる機能はVectorWorksにはないようです。

上記の横断図の例と同じようですが、
ここではn枚のレイヤの組み合わせて2のn乗枚の図面を表現しようと言うものです。
平面図では必ず使う機能です。

排水系統図などでは背景線、基本計画線、水路図、図郭など
道路中心線では、背景線、基準点、中心線、図郭など
を表示ONにします。
これだとひとつのレイヤを直すことで他の図面表示も訂正されるので、
データの修正が簡易になります。

これらの機能によって、比較検討案もひとつのファイルに付け加えることができます。
建物配列の凸型レイアウト、並列レイアウトなどいくつかの検討案を
ひとつのレイアウトにまとめることで比較検討の整合が楽になります。

【他のレイヤを表示+スナップ】

ごくたまに「他のレイヤを表示+スナップ+編集」に設定変更することがあります。
ファイル全体のフォントを変更したり、線幅を変更したりする場合です。
この場合、いっしょに図形選択マクロを併用してもちいることが多いです。

図面をほかのファイルやDTPソフトにコピーする場合にもこの設定にします。
通常の設定だとそのレイヤ上の図形しかコピーされないからです。

この設定は作業が終わればすぐもとの「他のレイヤを表示+スナップ」に戻しておかねばなりません。
また、ほかのイラストソフトなどにコピペする場合には
「他のレイヤを表示+スナップ+編集」だけでなく、グループ解除、シンボル解除の
解体処理を施すこともあります。
もうこうなるとCADデータとしては使えなくなりますので、
万が一に備えて、廃棄用の別ファイルをつくっておいてそこで解体処理を行います。
処理用のファイルはそのあと削除します。

DXFなどの中間ファイルもそうですが、このように
レイヤ、グループ、シンボル解除された解体データはもはやCADデータとはいえません。
ですからほかのCADからもらったDXFデータも、それを仕事に使うのであれば、
たいていの場合なんらかの処理を行います。

Mac系CADは特殊なので、自分の場合地形線は別として、
たいていはトレースし直していました。
場合によっては等高線もトレースし直したこともあります。
レイヤやグループなどは作図効率のための便宜上の設定という見方もありますが、
オブジェクト指向という観点からはこういった階層設定もCAD作図のひとつだと考えています。
すくなくともデータ構造にはいつも注意をはらいます。