画面登録

設定ごとに図面を印刷する場合に便利です。
レイヤとクラスのon・offを管理します。
ひとつのファイルにいろんな図面を詰め込もうとする際に必要になる機能です。

CADを使っていると線形図、排水系統図、路側構造図など次第に専用図面が増えてきます。
使用目的ごとに図面ができて便利なようですが、枚数がふえるのでかえって複雑にもなります。
排水系統図には「図郭」と「地形線」と「排水図」と「基本計画」、
丈量図には「図郭」と「中心線」と「幅杭線」と「境界線」。
これらのレイヤ構成をそのたびごとに設定し直すのは大変やっかいです。
こういう場合にレイヤ設定やクラス設定をあらかじめ登録して置いて
一発でテレポーションするのが画面登録機能です。

実は、これら専用図面が増える背景にはCADの表現力の問題が潜んでいるように感じています。
これまでの手書き図面では、地形図に線形図を載せて構造物や引き出し数量を
記入していたもの(真っ黒になほどの図面)が、
CADではそれぞれを背景(グレイ)処理した数枚の専用図面に分けなければ
判別しづらいという事情があるからです。
これは結局、CADの「死んだ線」に起因しています。

CADの線は自分を表現する力が弱いために、周りの線を消すなり薄くするなり、
また自分自身を破線や線色で強調するなりしないと図面の意図をうまく伝えられないからです。
つまり、いくら0.1〜0.05ミリ幅の極細がプリントアウト出来ようが、
いくら4ポイントの漢字フォントがきれいに印刷できようが、
まだまだ表現力では手書きに及ばないということでしょう。

キレイで精密な製図とわかりやすく使いやすい図面とは違うようです。
「ののちゃん」のいしいひさいちさんくらいに生きた線を引ける人は、
CADなんかで出力した図面ではなく、これまでどおりの手書きで描いた図面を使った方が
ずっとわかりよい図面になるようです。

とはいえ、製図や清書図を手書き描くとしても、
測点管理や数量・設計計算、施工管理などではCAD(管理ソフト)を使わざるを得ません。
自分の知る限り、これまでほとんどの土建業では、
このように手書きの図面と管理用CAD(ポケコンなどソフト)を併用してきた経緯があります。
図面出力はCADのいくつかの仕事のひとつに過ぎないので、
かならずしもCAD出力図を仕事に使う必要はないのです。

【ワンファイル管理の限界】

この画面登録機能はワンファイル図形管理の最終兵器です。
レイヤ、クラス、シンボル、グループ、そしてこの画面登録を使ってさえも収まりきらなくなれば
今度は別途ファイルに分けることを考えなければなりません。

コンピュータのファイルとは、アプリケーションが一度に読み込むデータのひとまとまりのことです。
平面図なら基準点データや地形データがいちどにメモリーに移されることになります。
では、データが複雑で収まりきらないとはどういう状態をいうのでしょう。

最近のパソコンはメモリー管理領域が1GBとか膨大になってきているので
大量のデータも原理的には読み込めるはずです。
データが収まりきらないとは、
読み込み不能と言うよりは動作が緩慢になりすぎるということでしょう。
数MBのバイパスの平面計画に数MB橋梁実施計画データを組み込んだようなモノで、
スクロールひとつにも1分近くかかって使い物にならないという状態です。

こういう場合は、当面の作業に不要なファイルは読み込まずに
必要なファイルだけ読み込むことで処理を迅速に行うことができます。
このような大規模プロジェクト管理CADとして、GISを例に考えるとわかりやすいとおもいます。

GISでは範囲が広いため、地形データといえども膨大で、詳細データでは全体表示が不可能です。
したがって全体表示では間引いた地形データを表示し、
詳細設定画面で本来の地形データを表示することになります。
これらは10023002tikei.mcdとかに命名して別ファイルとして保存しておき、
必要に応じて読み出して表示します。
同じように上下水道管データファイル、道路データファイル、土地境界ファイルなども
別ファイルで保存しておき必要に応じて読み込みます。

たとえば新店舗造成地計画で雨水流末設計を検討するとします。
GISでイントロ画面から対象地区を表示させます。
地形データ、下水管データ、道路データなどです。
これらはそれぞれのファイルからレイヤ上に引用されてディスプレイや印刷装置に出力されます。
この地形平面図の上に表示された下水管データをもとに流末検討が行われます。
このように多数のファイルからいくつかの必要な関連ファイルを取り出して、
データ利用することをリレーショナルデータベース機能と言います。

定義がちょっと違うかもしません
でも、自分が使っているFileMakerではそんなに書いてます。
GISのような大規模CADシステムには、このようなリレーショナルデータベース機能が不可欠です。

ということで、VectorWorksにもどります。
このCADソフトにも一応ファイル共有機能だとかリソースパレットの取り込み機能だとか
いくつかそれらしいものはあるようです
が、どれも本格的なリレーショナル機能とはいえません。

このソフトに限らず、Mac系のソフトで大規模データベースに対応したものをあまり見かけません。
大きなシステムにはオートデスク社やベントレー社だとかの専用システムが必要なようです。

データの管理方法としてファイル共有やリソースパレットでファイル単位で分ける方法と、
レイヤやクラスなどのようにひとつのファイル内で管理する方法とがあります。
いろいろ便利ですので普通はひとつのファイル内で管理するのですが、
組織で仕事をしたり、プロジェクトが大きくなったりした場合はファイル管理に移行させます。

ファイル管理にするとサーバパソコンでデータ管理できるのが利点です。
まずはシンボル図形からファイル管理を始めるのが一般的のようです。
注1.画面登録機能にはカラーレイヤの切り替えはできないようです