【フライトシミュレーション】

3Dなどでは特にそうですが、CADを使っていると
いま自分がどこにいてどちらを眺めているのかがよく分からなくなります。
工事現場がどこか全く画面の彼方にあるのか、
それとも月からながめたディズニーシーのように極微小な点に隠れているのかわからなくなるのです。

自分の位置を確かめるにはまずショートカットキーを使って
いつでもホームウィンドウ(用紙全体を見る)に戻れることが重要です。

図面を照査・編集するにはヴァーチャル空間内を素早く移動することが必要です。
RAF-66コマンチ(軍用ヘリ)を操縦するように自分と自分の視点を移動しなければなりません。
上空で地上を俯瞰しながら、
目標物を発見するとタカのように急降下し図形を画面いっぱいに表示させます。

このほかに画面登録や画面バックという方法もあります。
視点操作が(フライト)シミュレーションなら、こちらはさしずめテレポーションでしょうか。
こうしてみるとCADは製図というよりは、
(フライト)シミュレーションプログラムに近いと実感します。

【編集】

原則、CADは画面に表示されているものはすべて編集できます。
でもCAD図面でレイヤやクラス設定を複雑にすると、
編集すべき図形にロックがかかったようにピックアップ(選択)できなくなったり、
カーソルそのものが図形に反応しなくなったりで困ることがよくあります。
これらはすべて画面メニューとレイヤの設定が関係しています。

たとえば階層の「他のレイヤを」、「他のクラスを」を使っていくつかの図形を消してみます。
これでレイヤやクラスの構成がつかめます。
目的の図形が消えれば、それは別のレイヤや別のクラスにあって編集できないようになっているのです。

もちろんレイヤごと、クラスごとに色を分ける方法もあります。
その場合でも、レイヤ設定なり環境設定なりの画面編集操作で調整します。

ピックアップ(選択)できるのに編集できないのはロックされているか
グループ(シンボルを含む)化されているかです。
この場合はデータパレットで選択図形を調査します。

こうしてみるとCADはなんて不親切なソフトだと思われるかもしれません。
レイヤ、クラス、グループ、シンボル、ロックなどなど、
ソフトは違ってもCADの図形にはいろいろな規制がかけられています。
たしかに面倒です。
でもそれは勝手に図形をいじってもらっては困るからです。

他人に操作されて困るのはもちろんですが、
関係者や設計者自身がしらずに変更してしまうことも重大です。
とくに法や規制や測量データでがんじがらめの土木工事では、
一度承認された図面を修正することなどほとんどありません
水路断面線をいじるには、そのまえに水路縦断計画の見直しが必要です。
もしくは流域計画の修正でもかまいません。
どちらにしろ設計の見直し無しには線ひとついじることはできないのです。

そもそも施工管理で発注図面データに手を加えるような事態がそう起きるでしょうか。
図形やテキストの追加はともかく、図面修正は変更協議や変更契約を伴わなければなりません。
このページで設定→画面→作図→加工の順となっているように
CADでの図形・図面の修正とは特殊な操作になのです。
なお、どうしても修正不能にしたいならPDFで保存する方法もありますが、
これではデータ利用ができません。

便利に使えてしかも重要なデータは保護する。
やはりオブジェクト指向のデータ構造の構築は避けて通れないようです。