オブジェクト指向

【用語について】

カタカナ表示でわかるようにもとは米国のプログラム言語の用語です。
JAVAとかC++などがオブジェクト指向のプログラム言語だそうです。
でもまったくその方面に疎いわたくとしましては、果たして自分のやっている作図が
そういうプログラム用語とどういう関係にあるのかはさだかでありません。
直接「オブジェクト指向」というのがおこがましいので、
ただなんとなく「福笑い流」と称しているのです。

直感的にはCADとはバーチャル空間内で実物を作るということじゃないかとおもっています。
点とか線とかで表される図面ではなくて工事現場そのものを直接扱うということです。
では3Dモデリングのことかと問われれば、そこは福笑い(カード)なのですから、
面図形(2D)にとどまっていますとお答えするしかありません。
3DモデリングがCAD本来のオブジェクト指向ソフトとなるのでしょうが、
自分の場合なかなか実用とまではいってません。
図面出力もしにくいですし。
当面は福笑いのような面図形で満足しています。

でも、たとえカード(面図形)であっても、それなりにオブジェクトとして振る舞います。
四角形オブジェクトはどんなに変形処理しても4角が直角を保ちますし、
パラメトリック図形の扉や椅子(これは2D&3Dデータ)は
パラメータを変えてもやはり扉や椅子の格好を保ちます。
オブジェクト指向では図形データ自体がちょっぴりモノとして振る舞いますので、
使っていてもなんとなく気楽です。

複雑な構造物を動かすにも、その端点をクリックするだけで全体を選択できますし、
複数の散らばった図形もクラスや属性などの共通データで選択できるので楽チンです。
建築では壁に窓を開けるのもシンボル図形をドラッグしてくるだけです(これも2d&3D)
図形自体に振る舞いが設定されているので、
シンボル図形をフェンスにドラッグしてきても窓が開いたりはしません。
パラメトリックで自動的にモノデータが作成されるのもオブジェクト指向ですし、
円弧や四角形、それに拘束機能などモノデータに規制を加えるのもまたオブジェクト指向です。

【ヴァーチャル空間】

オブジェクト指向のCADでは、最後の最後には
ファイナルファンタジーのようなバーチャル空間を目指すことになります。
CAD空間内で全ての事象を管理してしまうということです。

ドライブゲームではクルマには地面を走る特性を持たせたりしています。
クルマは時にはジャンプしたりもするが、
基本的には高速走行でも車体による揚力は設定しないという具合です。
もしくはジャンプした時点で駆動力を失うという設定でもかまいません。

これがゲーム機ではなく製造用設計CADとなると、
クルマの構造部材に薄鋼板やアルミキャストの剛性を設定することになるはずです。
これで衝突時の変形シミュレーションが可能になります。

土木分野でも、河川流水に流体特性を持たせて、
護岸ブロック形状による洪水時の流速減衰効果など
武田信玄ばりの洪水制御シミュレーションも原理的には可能です。

これらはあくまで近い将来の、
そして研究機関の目標ではあるものの個人的なレベルとは言えません。
個人としては市販CADの発展、もしくはアドインプログラムを望むのが
せいいっぱいのところでしょうか。
このホームページでは、そういうわけで図形データにすこしづつ設計や
施工管理上のデータを割り振っていこうという
ささやかな試みを紹介しようかと考えています。
まず最初は数量算出からでしょうか。

【数量計算】

施工延長や断面数量の算出にCADを使うという方法です。
ものを図形オブジェクトとして扱うので数量算出の自動化が可能になります。

図形寸法は寸法線ツールが用意されていますが、
図形は直線状ばかりでもありませんし、数量は高さや延長ばかりでもありません。
こういった直線的でない型枠長や水路の施工延長など直線の長さは
データパレットに表示されます。

※ VectorWorksでは連続線は面図形として定義されているので、
データパレットの周長が時として延長を表していない(非表示の辺も含んでいる)
こともあるので注意が必要です。

VectorWorksでは断面土工量やコンクリート断面などの面積も
同じくデータパレットに表示されています。
これら面積数値を直接扱う場合には
ワークシートなどを活用して図形関数:AREA()などを使います。
これはオブジェクト指向とははずれますが、CADソフト上で
直接EXCELのような表計算機能を扱って数量集計を行うことも可能です。

自分は実用したことはありませんが、VectorWorksにはこのほかデータベース機能があって、
CAD内図形の数量集計が可能なようです。
でも扱いにくいようです。

体積については、3Dモデリングを使って
直接的に擁壁のコンクリート数量を求めるという方法もあります。
残念ながら、計算内容がプリントアウトされないので検算用途にしか使えません。
もっともそれをいいだすと、延長や断面積も算出根拠として出力されていないわけで、
これが汎用CADによる数量算出の問題点のひとつです。
なお専用そふとだと、計算根拠の出力が可能です。

これまで自分の場合だと、コンクリート断面積は「電卓で計算しました」とか、
断面土工量は「プラニメータで計りました」などとごましてきました。
実際に電卓で検算したり、プラニメータを回したりして確認はしていますので、
まんざらウソでもないのですが、直接CADの数量算出を使っていますと
証言できないのが残念なところです。
公金を使っている関係上、細かな数量でもごまかしがあると
世間で大きく騒がれることとなりますので気を遣うところではあります。